最初に奈良県立医科大学附属病院「小児センター」について、お話しさせていただきます。当院「小児センター」は平成23年に創設されました。これまでの当院小児科病棟を発展させたもので、奈良県下の「子ども医療の最終基地」だと位置付けています。つまり奈良県の子どもたちがどんな病気にかかっても県下で対応できるよう、「子ども医療の最終基地として」当院センターがあるのです。そのため高度の小児医療が可能な設備やスタッフを整えた施設となっています。ここには白血病や悪性腫瘍、腎疾患や先天性の心臓疾患のお子さんも入院されていますので、主な領域の専門医を配置し、医療スタッフ一丸となり対応しています。
従来の小児病棟では大部屋が多く見られましたが、当センターでは集中治療や感染症の治療にも院内で対応できるよう、個室を中心とした施設にしています。また症状によっては長期の入院が必要な場合もあります。そんなとき、親御さんは付き添いだけでも大変であり、保育や教育までなかなか手が回りません。そこで当センターでは院内保育士による保育をはじめ、小学校や中学校教育に対応した院内学級も併設してサポートしています。私たちのモットーは「子どもが笑顔になれるよう努力をすること」と「親御さんの信頼が得られるように努めること」です。これからも奈良県下の「子ども病院の最終基地」として、子どもたちが笑顔になれるよう、努めていきたいと思います。
特に小さなお子さんのいらっしゃるご家庭では、必ず「かかりつけ医」を持ってください。そして「かかりつけ医」に日頃から何でも相談し、子どもさんのことを良く知ってもらう習慣づけをしてください。万一お子さんの容態に変化があればまず「かかりつけ医」に受診することです。普段からお子さんを診察していますから的確な診察ができます。また症状に合わせ、入院設備が整った地域の病院や大学病院への紹介してくれます。信頼できる「かかりつけ医」を持つことが、お子さんを守ることにつながるのです。
しかし夜間、子どもが急に熱を出したなどの場合、「かかりつけ医」への受診ができないこともあります。幸いなことに、奈良県は小児救急システムが整備された数少ない県のひとつです。♯8000はご存じの皆さんも多いことでしょう。「小児救急電話相談」の番号で、看護師や必要に応じて小児科医のアドバイスが受けられます。急な発熱などの場合に便利な♯8000です。この電話対応の次には、開業医の夜診や市町村の休日夜間診療所があります。そして2次対応として奈良県では北和、中南和に分け、入院可能な病院が輪番で毎日対応しています。さらに3次的な対応として、奈良県立医科大学附属病院があるのです。また私たち小児科医が所属する日本小児科学会奈良地方会では、年に数回勤務医や開業医が一堂に集まって連携強化にも努めています。このように奈良県は、子どもが病気になった時の受け皿がしっかりとできていますから、安心して楽しく子育てをしていただきたいと思います。
熱が出たり、吐いたりなどの症状が出ていれば、すぐに「かかりつけ医」に受診するなど、行動を起こされることでしょう。しかしもっと軽い症状の場合は、大丈夫だろうとか様子を見ようと思いがちで、重篤な疾患や状態を見逃しやすくなります。親として心がけていただきたい事は、子どもの危険信号をいかに早く察知するかです。つまり、いつもと少し違うなあと感じていただけるかどうかです。お子さんをしっかりと観察する習慣を持ってください。こんな症状があれば、「かかりつけ医」に相談してみましょう。
こどもに多い救急疾患と言えば、脱水症や熱中症、急性胃腸炎や食中毒、夏風邪、アレルギーの症状や誤飲誤嚥などがあげられます。しかしわが国では40年以上、1歳以降の子どもの死因の第一位は事故なのです。子どもの危険信号を早く察知することはもちろんですが、子どもを事故に遭わせない、注意や配慮が一番大切だと考えています。
子どもは社会の宝です。自分の子どもだけでなく、他のお子さんにも関心を持っていただきたいものですね。
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