奈良医療ガイド なら元気NAVI

何でも相談できる、「かかりつけ小児科医」を見つける

県内の子どもたちの、
健やかな成長を見守ります

 奈良県小児科医会は、県内にて小児科診療に携わる医師により構成される組織です。現在約120名の会員が県内各地で医療活動を展開しています。当医会の歴史は長く、昭和30年代後半に発足した「奈良県臨床談話会」をルーツとし、昭和59年に現在の「奈良県小児科医会」となりました。
 当医会は、小児科診療レベルの向上をめざし、小児医療に関する最新の治療法や対処法、小児虐待の早期発見予防、予防接種などに関する会員向け講演会を年数回開催、県内小児科医の質の向上に努めています。会員である開業医や病院勤務の小児科医は、各地の特色を生かしながら、県内の子どもたちの健やかな成長に貢献できるよう、日々努力を重ねています。合わせて当医会では、自治体に対し健診事業や予防接種事業、そして小児虐待対策事業などの促進要請に対しても積極的な活動をしています。

ご家族に合った「かかりつけ医」は
頼もしい存在となることでしょう

 特に小さなお子さんのいらっしゃるご家庭では、「かかりつけ医」の存在がとても大きいものとなります。「かかりつけ医」としての小児科医院との付き合いは、お子さんの誕生から二十歳までと、とても長い時間になります。つまりお子さんの特徴や病歴など、医師として的確に把握できる立場にいるのが、「かかりつけ医」なのです。もし万が一、お子さんが重病になった時でも、「かかりつけ医」があれば、大きな病院との連携も円滑に進めることができます。お子さんの成長をしっかりと見守ることができる「かかりつけ医」を、ぜひ見つけてください。
 しかし転勤などで見知らぬ地に住むことになれば、新しく「かかりつけ医」を見つけなければなりません。まずはインターネットでお住まいの地域の小児科医院を探してみてください。幼稚園や保育所に相談されてもよいでしょう。小児科医院の休診日も要チェックです。休診日の異なる小児科医院も併せて探しておかれてはいかがでしょうか。お子さんの病気はいつ起こるかわかりませんからね。
 そして夜間や「かかりつけ医」の休診日には「小児科救急電話相談」をご利用ください。電話番号は♯8000。看護師や必要に応じて小児科医の助言を受けることが出来ます。奈良県は、子どもが病気になったときの受け皿がしっかりとしています。ぜひ相談しやすい「かかりつけ医」を見つけてください。

小学校入学までに受ける定期接種の機会を利用し
「かかりつけ医」とのコミュニケーションを

 VPDとはワクチンで防げる病気のことです。おたふくかぜや水ぼうそうなどもVPDですね。小学生になってからVPDにかかれば、軽度であっても1週間程度は休むことになります。定期の予防接種は忘れずに受けてください。任意の接種も受けられることをお勧めします。これらの接種時は「かかりつけ医」とのコミュニケーションを密にできる良い機会だと思います。就学前は予防接種の受け忘れを確認する大切な時期です。もし今までに受けていなかった定期接種があれば、「かかりつけ医」に相談してください。その他お子さんのことで気になることがあればお気軽に相談してみてください。小児科医は子どもが大好きです。もし子どもが苦手であれば、小児科医にはなっていませんからね(笑)お子さんへの思いは、ご両親も私たち小児科医も同じなのです。
 私は20年以上の病院勤務の後、小児科医院を開院しています。乳児健診や育児相談にも力を入れ、特に初めてのお子さんを持つ若いお母さんたちの相談相手となれるよう努めています。特に小さなお子さんの病気で気を付けているのは、感染症です。インフルエンザ、感染症胃腸炎、あるいは水ぼうそう、おたふくかぜなど、感染症も様々です。来院されている他のお子さんへの感染を防ぐために、十分な配慮が必要だと考えています。このような思いは、他の小児科医院も同じです。お子さんが発熱した場合は、幼稚園や保育園への登園を避け、「かかりつけ医」の受診をお願いします。

日ごろから子どもの観察をしっかりと。
事故から子どもを守ることも大切です

 お子さんが発熱したり、おう吐するなど、顕著な症状がある場合には、すぐに「かかりつけ医」に受診してください。しかし少し元気がないとか食欲がないといった場合は、様子を見ようと思いがちです。ことさらに神経質になる必要はありませんが、いつもと違う様子なのかを感じていただけるよう、日ごろからお子さんの観察をしっかりとしてください。つまり子どもが出す危険信号をいかに早く察知するかが大切なのですから。表1のような症状があれば、「かかりつけ医」に相談してください。
 子どもに多い救急疾患は、脱水症や熱中症、急性胃腸炎や食中毒、夏風邪、アレルギー症状や誤飲・誤嚥(ごえん)などがあげられます。しかし日本では、1歳以降の子どもの死因の第一位は事故なのです。事故は屋外だけでなく家庭内にもたくさんの危険が潜んでいます。くれぐれも、お子さんが事故に遭わないよう、注意や配慮をお願いしたいと思います。

「病診連携」の強化も、
小児医会の大切なシゴトです

 小児科医会では、皆さんが受診される小児科医院と、地域の大きな病院が常につながっているように、「病診連携」を強化しています。奈良県は他県に比べても、この「病診連携」が進んでいる地域だと思っています。それぞれのご家庭においては、「かかりつけ医」と病院の使い分けが望ましいと思います。まずは「かかりつけ医」です。ここで対応が困難な治療や手術が必要と判断された場合は、各地域で密接な連携をしている病院に対し、「かかりつけ医」から紹介状が出されます。お子さんの病状や性格をよく知った「かかりつけ医」からの紹介ですから、病院側も安心して受け入れが出来ます。
 また「奈良県立医科大学附属病院」をはじめとする県内各地の病院には「地域医療連携室」が設置され、県内各地域の小児科医院との連携を深めています。紹介状がなければ、病院での受診は相当の待ち時間や費用もかかってしまいます。まずは「かかりつけ医」を受診することです。
 最初にお話ししましたように、各ご家庭に合った、長く付き合える「かかりつけ医」を見つけてください。県下には、頼れる誠実な小児科医院が多くあります。子どもは社会の宝だと思います。私たち小児科医も皆さんと一緒に、お子さんの成長を見守っていきたいと強く思っています。ぜひ、思い出に残る素晴らしい子育てを経験してください。

プロフィール

新家 興(にいのみ こう)

■奈良県小児科医会 会長
■「にいのみ小児科」 院長
医学博士/ 日本小児科学会認定 小児科専門医 /
日本小児科医会認定 『子どもの心』相談医
1982年:奈良県立医科大学卒業
2007年:「にいのみ小児科」を奈良市藤の木台に開院

■小学校入学までに接種を済ませておくワクチンと接種回数(接種のおすすめ時期)

MR(麻しん風しん混合)ワクチン(定期接種)
2回(1歳と小学校入学の前年)
日本脳炎ワクチン(定期接種)
3回(3歳代で2回、4歳代で1回)
おたふくかぜワクチン(任意接種)
2回(1歳と3〜7歳)
水痘(みずぼうそう)ワクチン(定期接種)
2回(1歳代)
四種混合ワクチン(定期接種)
4回(0歳代で3回、1歳代で1回)
小児用肺炎球菌ワクチン(定期接種)
1度も接種してないなら1回(9歳まで接種可能)
すでに接種していて必要回数を受けていない
場合はかかりつけ医に相談してください。
B型肝炎ワクチン(任意接種)
3回

(注)定期接種のワクチンには接種時期の規定があります。

元気がない

  • なんとなく元気がない
  • あまり笑わない
  • 発熱
  • 食欲がない
  • 尿量が少ない
  • 息が荒い
  • おう吐、下痢、咳、頭痛、腹痛、鼻水
  • けいれん

表1

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