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耳や鼻の病気予防には鼻をかむ習慣が大切です

幼児期にかかりやすい中耳炎や副鼻腔炎は、鼻水に含まれる菌が感染して発症する病気です。
今回は幼児期の耳や鼻の病気について奈良県立医科大学の北原先生にお話をうかがいました。

中耳や副鼻腔に鼻水が入り込まないようにしてあげること。

 幼児期にかかりやすい耳や鼻の病気の代表的なものとして、中耳炎と副鼻腔炎があげられます。冬の季節に発症が多くみられる傾向にあり、風邪が原因となる場合が多いです。風邪をひくと鼻水が出ます。お母さんが気がついたときには、鼻をかむように指導をしますね。しかしそうでない場合は、鼻をすすることも多いはずです。このすすった鼻水の中に含まれている菌が中耳に入り炎症を起こす病気が中耳炎です。

 菌の感染により中耳に膿が溜まりだすと、直ちに痛みを伴うようになります。その後一日も経たないうちに、膿により中耳の圧力が高まり鼓膜が破れ、耳から流れ出します。このときはもう痛みは治まっていますが、必ずお近くの耳鼻咽喉科に受診してください。

 一方、副鼻腔炎とは一般的に「ちくのう」とも呼ばれる症状です。副鼻腔とは頬、額、眉の間にある空洞です。副鼻腔炎とは、風邪により鼻水の中の菌が副鼻腔に入り炎症を起こし膿が溜まる症状です。中耳炎のように急激な痛みを伴うことはなく、絶えずドロッとした鼻水、いわゆるアオバナや黄色い鼻水が出ていることが特徴です。しかし放置すれば慢性的な副鼻腔炎となり、いつも鼻が詰まった状態で息苦しくなったり、鼻が溜まったり、喉に鼻が流れ込む「後鼻漏」の症状が続くようになります。このようになれば、集中力も欠くようにもなりますので、幼児期に完治させることが大切です。しかし近年、小児用肺炎球菌ワクチンの接種により、中耳炎や副鼻腔炎は少なくなってきています。

鼻かみの習慣づけは、中耳炎や副鼻腔炎の予防に効果的

 中耳炎や副鼻腔炎の予防には、鼻かみの習慣が効果的です。片方づつ、そーっとかむように練習させてあげてください。

 就寝前にお子さんが鼻をぐずぐずさせるような場合は、鼻をかんでから寝るようにさせましょう。というのは、子どもは鼻と耳の位置が水平に近く、大人のように角度が付いていませんので、寝る姿勢をとると鼻水が中耳に流れやすくなります。これが原因で中耳炎を引き起こす場合もあります。乳児の場合、夜泣きの理由がこの中耳炎の痛みによることもありますから、風邪気味だと思ったり、もちろん耳だれが出た場合には耳鼻咽喉科の診察を受けるようにしてください。また乳児の場合、寝かせたままミルクを飲ませると、ミルクが中耳に入り炎症を起こすことがあります。これを「ミルク耳」と呼んでいます。乳児にミルクを与える場合は注意してください。

 花粉や家の中のほこり、ダニなどで発症するアレルギー性鼻炎により、中耳炎や副鼻腔炎が起こることも考えられます。この場合は、鼻水が出ないようにする根本的な治療が必要になってきます。

 最後に私の専門分野である「めまい」について少しばかりお話をしましょう。三半規管に剥がれた耳石が入り「めまい」が起こることがあります。妊娠、出産時に起こる「めまい」は、カルシウム不足による耳石のはがれが原因です。サプリメント補給も効果があります。また就寝時の姿勢も影響しますので、私の研究室では寝具メーカーと角度の付いた「めまい」用のマットレスを開発しています。「めまい」にお悩みのお母さんは、一度、耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。

奈良県立医科大学附属病院
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