奈良医療ガイド なら元気NAVI

ガイドブックやチャンネルを利用し、信頼できるかかりつけ医を持ち安心できる子育て環境を整えましょう。

新型コロナ禍なので検診や予防接種を控えたほうがいいのではないか?受診のタイミングがわからないなど、子育て中は不安や悩みが多いものです。そんな時に力になってくれる情報やかかりつけ医を持つことの意義について、奈良県立医科大学小児科の野上恵嗣教授にお話を伺いました。

診療控えをしないで 予防接種は必ず受診

 3〜6歳の子どもは、冬は胃腸炎を中心にインフルエンザなどの感染症、季節の変わり目にはアデノウイルス感染症、手足口病のようなウイルス性の病気や喘息などが増え、夏には熱中症がはやるなど季節性のある病気にかかりやすいです。しかし、新型コロナウイルス感染症が流行したことで私たちの生活は大きく変わりました。マスクをして、手洗い、うがいを徹底した生活を送るようになり、インフルエンザのような感染症が激減しました。今までにも、感染症対策としてマスク、手洗い、うがいの必要性はいわれてきましたが、実証できていない部分がありました。しかし、新型コロナ禍によって感染予防の効果が明らかになり、いかに予防が大切かということも広く認知されるようになりました。特に幼児期の子どもたちには、今までも予防すべき病気に対して積極的に予防接種がおこなわれ、かなりの数のワクチンによって子どもたちはしっかりと守られてきました。当然のことですが、新型コロナ禍だからといって予防接種を控えるのではなく、きちんと免疫を得るように心がけてください。

しっかり体を作るための よく食べ、よく寝る習慣を

 決められた時期に予防接種を行うとともに大切なことは、健康を守るために食生活と睡眠でしっかりと体を作ることです。3〜6歳ぐらいは好き嫌いも出てくる年齢です。様々な食材をバランスよく食べることを心がけましょう。さらに食べることを楽しむためには、テレビなどに頼らず、今日のできごとを話しあうなど子どもと一緒に過ごす時間を作ることが、好き嫌いを減らすことにもつながると考えています。よく食べて、よく寝て、よく遊ぶというのが基本です。そうすると体力もしっかりとついてきます。昔、子どもは気がついたら寝ているというが普通でした。しかし、今の時代、スマホによって子どものライフスタイルは大きく変化し、残念ながら睡眠時間が減っています。寝る子は育つといわれるのは本当で、寝始めてから2〜3時間後に成長ホルモンが出ますので、寝る子は育つ、食べる子は育つというのはその通りなんですよ。

救急時にはガイドブックや チャンネルの利用を

 たとえどんなに予防をしていても、幼児期には発熱や嘔吐などはおこるものです。子どもが発熱した場合には、まずは子どもの様子をしっかりと観察してください。手足を触ってみて熱い時は、熱が出てきているので冷やします。反対に、手足が冷たくて震えている場合には、水分をこまめにとり、厚着にして落ち着かせ、様子を見ながらかかりつけ医に連絡をしましょう。嘔吐の場合は、脱水を心配して水分を取らせようとするご両親が多いのですが、無理に水分補給しようすると吐き気につながることもありますので、まずは落ち着かせて、少し時間をかけながら水分を含ませる方がいいです。ただ、けいれんの場合だけは、急がなければなりません。すぐに救急車を手配し、しかるべき所でみていただくことが必要です。

 発熱やけいれん、腹痛など、子どもの急病時の対応方法やどのような状態の時に診察を受けるべきかについて、奈良県では「こどもの救急ガイドブック」を作成しています。症状によって一概には言えませんが、落ち着いて行動するためにも、常に見ることができるようにして、お医者さんへかかる前にまずはこれを参考にすることをおすすめします。他にも発熱や咳、誤飲など、症状別の対処方法や医療機関を受診する目安などを動画で紹介している「こどもの救急チャンネル」もありますし、子どものケガや急病で、病院へ行くべきか判断に迷ったとき、看護師が電話でアドバイスをしてくれる「奈良県こども救急電話相談(#8000)」も設置されていますので、いざという時に利用できるようにしておきましょう。

かかりつけ医を持ち 安心の子育てを

 救急時にどのタイミングで病院に連れていくかは非常に難しい問題です。子どもによって症状が出にくく、重症化する場合もあります。そのため、日頃から子どもの体質や成長とともに患った病気について知っているかかりつけ医をつくっておくことが大切です。気になることがある時はまず相談できる、そんな存在の先生です。

 ご両親が判断することが難しい症状も、相談できる先があるだけで安心です。困ったときには夜間救急や休日診療をよく利用するというご両親もいますが、かかりつけ医の存在は少し違います。夜間救急や休日救急を利用したとしても、次の日に改めてかかりつけ医も受診しておくのがいいですね。かかりつけ医には地域の情報が集まり、流行っている病気なども把握しているため対応も的確です。中学生くらいまでは、何かあったらすぐに駆け込める場所として受診しておくといいでしょう。

 今の時代、核家族で暮らす家庭も多く、子どもが夜に熱を出して、不安な時間を過ごされるという経験をお持ちのご両親も多いと思います。昔は同居するおばあちゃん、おじいちゃんから得ていた子育ての情報を、今はネットなどのツールで得るようになりました。そんな時に頼りになるのがかかりつけ医であり、ネット上に掲載されている応急処置や救急受診のポイントなどが役にたちます。社会には子どもを守るための体制が整っていますので、安心して子育てをしてください。そして、子どもの体力を伸ばして健康増進に努めることで予防にもなることを知っておいてください。

奈良県立医科大学附属病院
〒634-8522
奈良県橿原市四条町840番地
TEL.0744-22-3051(代表)

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