妊娠や出産、便秘が原因です
痔
問診、視診、触診で痔の症状や原因を確認恥ずかしがらずに治療を
痔は放置すると悪化しやすく、原因を突き止めて改善しないと再発を繰り返します。また大腸がんによる出血を「痔のせい」だと見逃してしまうこともあるため、肛門科できちんと診察を受けることをおすすめします。
でも「肛門科を訪れるのに抵抗がある…」「患部を見せるのが恥ずかしい」と思う人は少なくありません。
最初に、問診で痔の症状や程度、食事・仕事環境などの生活習慣、出産の有無などを確認。次に視診と触診。患者さんは診察台に横向きで寝て、下着をひざまで下ろし、腰回りにバスタオルを掛けて診察を受けます。
視診では肛門やその周辺を肉眼で見たり、触診では指や肛門鏡を使って異常の有無を確かめます。
触診の際には、肛門の周囲に滑りを良くするゼリー剤を塗るので、痛みはほとんどありません。また肛門鏡は指に比べて、口径が小さく滑らかなので、挿入がスムーズです。もし痛みを感じたら我慢せずに、すぐに医師に伝えてください。
原因がわかったら、症状に適した薬と生活習慣の改善で治療していきます。炎症や痛みを抑えるステロイド系、止血作用のあるビスマス系などの塗り薬や坐薬(ざやく)タイプが主な治療薬です。生活療法や薬物療法を続けても改善がみられない場合や、早急な対応が必要な場合は、外科的な処置や手術を行うこともあります。
便秘、出産、ダイエット男性に比べて女性は痔になりやすい!?
女性が痔になりやすい原因に妊娠・出産が挙げられます。妊娠中の子宮が直腸を圧迫したり、お産で息んだ結果、肛門周辺の静脈がうっ血し、それが痔、特にいぼ痔の原因になります。
しかし女性の痔の一番の原因は便秘です。外出中に便意を我慢したり、食事量を控えたダイエットを行ったり、また生理前や妊娠中のホルモン作用で腸の動きが悪くなるなど、男性に比べ、女性のほうが便秘の要因を抱えやすいようです。
便秘症になると、水分が腸で吸収されることで硬い便になり、排便時に肛門部や直腸を傷つけやすくなります。また硬い便を出すには、通常より強い力で息むことになるので、痔の原因になります。
治療を続けても手術を受けても排便習慣を整えなければ、痔は再発します。日ごろから食物繊維や水分の多い食事、適度な運動を心がけましょう。医師に相談のうえ、整腸剤や下剤を服用することもおすすめです。