妊娠糖尿病、不妊症、月経不順・・・。女性特有の症状に要注意
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病はホルモン環境の変化が関係血糖コントロール値の確認を
女性特有の糖尿病の代表といえば妊娠糖尿病です。日本で同病の割合は約2・9%と全体の1割を満たしていませんが、ライフスタイルの変化により、徐々に増加していると考えられています。
妊娠糖尿病は妊娠中に起こる体内のホルモン環境の変化が関係しています。妊娠すると、胎盤からはプロゲステロンが、副腎皮質からはコルチゾールと呼ばれるホルモンが分泌されます。これらのホルモンが、血液中に含まれるブドウ糖を体に取り込む働きをするインスリンの活動を抑えるため、妊娠中は糖尿病が発症しやすくなるといわれています。
妊娠糖尿病になると、妊娠中毒症や羊水過多症、感染症を引き起こしやすくなり、また母体の血糖値が高いと胎児が高血糖の状態になることも。その結果、胎児はインスリンを過剰に分泌し続け、臓器の発育が不十分な巨大児や虚弱児になる危険を伴います。
血糖コントロールの基本である食事療法と適度な運動で血糖値を正常に戻しますが、それでも血糖コントロールが不十分な場合はインスリン治療を行います。経口血糖降下剤は、胎盤を通過して胎児に影響を与えることもあるので、妊娠中は使用しません。
妊娠糖尿病になりやすいリスクファクター(危険因子)として、糖尿病の家族歴、肥満、35歳以上の年齢などがあります。
健康的な食生活と有酸素運動で糖尿病を予防しよう
妊娠を望んでいる場合、まず血糖コントロールの状態を確認するために、「ヘモグロビンA1c値」を調べましょう。
血液検査時のブドウ糖数値がわかる「血糖値」に対し、ヘモグロビンA1c値は過去2カ月の糖の状態がわかります。ヘモグロビンA1cの正常値は4・3〜5・8%。妊娠初期にヘモグロビンA1c値が8%以上になると、20〜30%の胎児に異常をみることがあります。そのため、妊娠前はヘモグロビンA1c値を6%未満に抑えることが必要です。
不妊症や月経不順の原因の一つに、糖尿病が挙げられることがあります。規則的な月経には規則的な排卵が必要。インスリンは排卵の正常な働きに重要なホルモンですが、糖尿病ではインスリンの代謝が妨げられるため、排卵障害を引き起こすのではないかと考えられています。
女性特有の妊娠糖尿病は、出産後には母体は正常な状態に戻るといわれています。また、母親が糖尿病を患っていても、すべての子どもに遺伝するとは限りません。
しかし糖尿病母体の赤ちゃんの25〜50%に、生まれたときの体重が標準よりも重い過体重児が見られます。過体重児は学童期や思春期で肥満しやすく、糖代謝の異常が生じて、将来的には糖尿病を発症するリスクファクターを持つ可能性があります。
ただし、糖尿病をはじめとする生活習慣病の場合、体質は発症の危険を高める要因の一つにすぎません。砂糖や動物性脂肪の多い食事による過食や肥満、運動不足、過剰なストレスなど、生活習慣が原因となって発症する場合もあるのです。主食の米を中心に、魚介類や豆類、海藻など、脂肪分が少なく副菜が多い和食は、血糖値を上げない食事を心がけましょう。
家族で一緒に、ウオーキングやジョギングなどの有酸素運動を継続的に行い、体重と血糖値の同時コントロールをするのもおすすめです。